Plan
Ceiling Plan
Roof Plan
Section plan_A
Section plan_E
Section plan_B
Section plan_C
Section plan_D
Section plan_E
Section plan_F
Section plan_G
熊本市内にある4人家族のための住宅。
敷地周辺は農地から徐々に住宅地へと変わりつつあり、隣地の田んぼや畑も10年ほどすればまた別の家族の住む住宅となることが予想された。
施主家族も今後の10年20年30年と年を追う中で子どもの独立、あるいは帰郷、仕事の変化など環境の変化が起きることは想像に固くなく、
うつりゆく暮らしに機能として対応しつつ、変わらない心地よさを作り出すこと目指し以下の4つの試みを考えた。
【伸び縮みする平面】
全体の平面構成は床が微妙に上下したり平面がずれるなどで小さな領域ごとに分けられつつもズルズルと連続するひと繋がりの空間とした。
各空間は家族で食事をしたり、趣味に勤しんだり、家事をしたり宿題をしたりと家族の活動を受け入れつつも一部屋とするにはわずかに狭く、
隣り合う空間を部屋の一部と認識することで心地よい空間となっている。
このように全体の床面積は絞りつつ、その時々で必要なスペースをとなりから借り受ける”伸び縮みする平面”をめざした。
【変わらない環境装置としての窓】
敷地周辺の環境や家族のフェーズが変化していく一方で、変わらない環境価値を作るものとして窓を考えた。
周囲の環境変化からプライバシーを守りたい施主の要望に対応し窓は最低限としつつも、ハイサイドやの深い軒の下など開き方をチューニングすることで
東西南北それぞれ必要な箇所に窓を設けた。
各窓から差し込む多種多様な光はひと繋がりの空間に異なる光環境をつくりだし緩やかな分節と心地よさを生み出す。
【領域横断の補助線としての架構】
天井や屋根など上部架構はフラットな天井と垂れ壁によるボリュームと垂木を現した勾配屋根とが噛み合う構成とし、これらの架構は床平面と少しずつずれて計画されている。
床と上部架構のズレが生み出す領域の曖昧さは伸び縮みする平面認識を補強し、たとえば北側の庭に深く伸びた軒は室内空間の延長として庭を認識させたり、
南側の勾配屋根下の玄関と小庭は一体で機能するなど一部の架構は内外を連続することで領域を一体とする補助線として機能する。
【変化する周辺環境のための4つの庭】
東西に長い敷地に対し建築も東西に長くかつ中央に配置することで東西南北それぞれに小庭を確保した。
北側は隣地にブロック塀があったが安全のため敷地内に土留め壁を新設し、建物平面と対応した形状とすることで段々状の中庭を確保した。
東には田んぼに面した開けた庭が、南には玄関と連続して機能する小庭、西側は車のための庭を設けた。
将来変化していく周辺環境との緩衝帯として4つの庭を住みながら徐々に整備していく。
一度完成を迎えると変化のしにくい建築というものが、竣工をスタートに長い時間軸の中でどのように環境変化対応し豊かさを作り続けられるのか、
これからも施主と共にこの建築のあり方を考えていきたい。
建築設計:澤伸彦建築設計事務所+スタジオキノコ
家具デザイン/製作:スタジオキノコ
構造設計:スカラデザイン(村上翔)
建築施工:銀杏開発
写真:伊藤 建太朗
25/7 菊南の住宅